犬が死んだ。
いや、死んだのは結構前のことで、2022年2月14日です。
Twitterでは騒いでたけど、ブログで死に向き合う事はなかなかできなかった。
そろそろ、できそうなので書くことにした。私は記憶力が悪いので、忘れるといけないから。
うちの犬は5-6歳の頃に僧帽弁閉鎖不全症と診断された。
その時から、別れがくることをずっと覚悟させられてきた。
ただ、10年も一緒に暮らしている存在が急にいなくなるとはなぜか思えない、理解が追いつかない。
なんと私はおろかなのでしょう。あんなに言われてたのに。
大事なものは失ってから気が付くというけど、本当にまさしくそうだとこの言葉を初めて口にした人間の言語化能力に感心してしまう。
心臓の弁が完全に閉まりきらなくなる病気。
全身に行くはずの血液が一部左心室に逆流してしまうので、全身の血流量が減ってしまう。
心臓の負担が上がり、頑張り過ぎた結果心臓が大きくなる。
うちの犬はとても小さい個体(2kgトイプードル)だったため、医者から手術はできないと言われ、投薬治療・食事療法のみの治療となった。
なお飼い主は手術の選択肢をもっと模索すべきだったと後悔している。
年1で健康診断に行っていたのでかなり初期発見でき、6年間くらい投薬治療をした。
最後の1ヵ月は週2-3回動物病院に行って、利尿剤、降圧剤、強心剤などを注射していた。
主な症状
- 疲れやすくなる
- 咳が出る
- 心臓が大きくなる
- 後期は肺に水が溜まる肺水腫になる

あいか
投薬治療で治すことは不可能なので、ダメになった弁をなんとかする手術のみで治る病気です。
この記事は多分落ち込んでる人をさらに落ち込ませる可能性があるので、読む場合は目を細めて読んで欲しい。なんなら私以外の全人類読まなくていい記事。
目次
犬の病歴
- 子犬の頃に犬の幼稚園で風邪を貰い、1ヵ月くらい咳をする(治療はしてたよ)
- 5,6歳の頃僧帽弁閉鎖不全症と診断される
- 11歳の頃てんかんの発作を起こし、倒れる
③のてんかんの発作については、なかなか医師の診断が下りず治療を始めるのがかなり遅くなってしまった。
てんかんはダメージが脳に行く場合もあるが、どうだろう、うちの犬はあまり変わらないように見えた。
ただ心臓への悪影響はかなりあったと思う。
何度か下痢をしたくらいで、小さな風邪や怪我はほとんどなかった。
うちの犬の病気、全部がデカい。
犬が虹に渡った日の振り返り
この日は仕事で外に出てて、バレンタインだから帰りにデパートによってチョコを買って帰宅。
1月の2週目から体調が悪かった犬だけど、帰ったらいつもお迎えしてくれる律儀犬だった。
この日もいつも通りお迎えしてくれた。
さっと抱き上げてひとしきりもふり、手を洗うために下ろしたらそのままハウスに。
食事を食べようとしたら再び現れ、妙な咳をしてポタリとピンク色の液体を一滴垂らした。
家族に今日の体調を聞いたら、夕方に病院に行っていつもの注射をしてもらったらしい……が、体調が悪化しているとのこと。
いつも病院で注射→次の日に回復のサイクルだったので、そのうちよくなるはずだ。と安易に考えてしまい、食後は犬といつものごろ寝時間をした。
夕食後はリビングで横なり、足の間で犬が寝るというルーティンがあった

再び仕事に戻った。(このころの私は治療費と食事代の為にも、とてもたくさん仕事をしていた。週に何度も病院に行くので結構高いお金が掛かっていた)
あの液体なんだったんだ…?と仕事をしながら疑問と胸騒ぎ。
検索しまくると、どうやら「肺水腫」になるとそのような状態になるらしい。
咳や呼吸が荒くなるといった呼吸器系の症状がみられます。症状が重くなると、呼吸を楽にしようとするために首を伸ばし前肢を突っ張ったような状態で座っていることが多く見られます。
重篤化すると、血の混じった泡が出るようになったり、舌が青紫になるチアノーゼの症状が見られます。
JASMINEどうぶつ総合医療センター 肺水腫
首を伸ばし前肢を突っ張ったような状態……は最近よくやっているポーズだった。
このポーズをするときは、とても辛そうなのですぐに動物病院に連れていっていたが、今日は行った後だったので、すぐに行く決心がつかなかった。
22時頃に切り上げると、まだ辛そうにしていた。かわいそうに…。
というか肺水腫の重篤化状態って、やばいんじゃないか!?このまま死なせるわけには!……とようやく決心し、夜間診療をしている病院に電話した。
電話は大嫌いだが、緊急時にはすぐかけれるものらしい。すぐに診てもらえる事になったので慌てて出発の準備をした。
犬は、出かける準備を急にし始めたので立ち上がってウロウロ。
元来どこにでも着いていきたいタイプの犬なのだ。
しゃがんだらすぐに抱っこされにきたので、「さあ行くぞ!」とブランケットで包んで車に乗り込んだ。
投薬されてる薬の一覧を書いたメモを忘れたので、玄関前に車を停めてもらい(私は犬を膝にのせていたので)父親に取りに行ってもらった。
この瞬間だ。
えっ!?って思うくらい大きく、2,3度犬が痙攣した。
びっくりしてギュっと抱きしめて「大丈夫!?!?」と声を何度もかけた。
後から振り返ると、どう考えてもこの瞬間に犬は逝ってしまっていた。
多分頭のどこかで(死んだということを)分かっていたと思うけど、確認したら終わりだと思って、私は咳もせず静かになった犬に、ひたすら声をかけ続けながら病院へ向かった。
病院について、すぐに診てもらうと、息をしていないとのことで蘇生処置をすることに。この瞬間から頭がぼーっとしていた。
蘇生処置を行ってもらってる間、ぼーっとしながらも「戻ってこい!」という言葉が自分の口から出ていた。
あ、出るんだ。その言葉。とどこかで思った。
医療系のドラマの中で、聞いたことある言葉だった。
家からその病院までは車で15分かかる。
心肺停止してから15分。蘇生は当然といってもいいが、残念ながら、無理だった。
苦しそうにしている犬を、夕方に病院行って注射したからな…と夜中までそのままにした決断の遅さは、いまだ後悔している。あるいは、なんとかしようと足掻いた事も同時に後悔している。
どこまでの延命治療をするか、人間相手にも悩ましい事だけど、犬相手だって難しく悩ましいことだ。全部私の病気だったらよかったなぁと何度も思った。
なんだかんだ(深夜料金等)で、15000円くらいとられたが、この処置を施したおかげでかなり長い間(4,5日)犬を自宅に置いて長い別れの時間を取ることができた。
後々調べたところ、こういった処置をしないと血やウンチが出てきてしまうし、腐敗も早いらしいので、ゆっくりお別れをしたい方にはオススメである。お願いするときは、予め電話をしていったほうがいいとおもう。
犬を看取って後悔した点
犬が心臓病になる原因の一つに、歯周病がある。
私は犬の歯磨きをしっかりできていなかった。歯磨きガムをあげたり、たまにコットン指サックで歯を掃除したりしたけどもっときちんと毎日歯磨きすればよかった。

あいか
あまりに犬が嫌がって、大変な事になったので心が折れて歯磨き習慣がなくなってしまったのです
歯磨きのしつけ、本当に大事。
あとは、
- 夕飯食べるよりも、病院に行くべきだった
- 或いは静かに家で安静にしていればよかったかも
- 診断を受けてすぐに、手術の可能性をもっと模索すればよかった
ここらへんだろうか。
結果論だし、1と2どっちが正しいのかはいまだにわからない。
3も、犬が心臓病と分かった当初は本当に小さな小型犬の心臓病手術の例があまりなかったので、踏み切れなかったのも確かだし、わからない。
ただ2022年の今は、結構小さな子も僧帽弁閉鎖不全症の手術を受けて回復している例がネットに転がっているので、今だったら受ける決心をできたのかも…。
犬を飼うのは人生で初めてだったので、子犬時代から考えると「ああしてればよかったな」と思う事は本当にたくさんあるが、この記事では割愛させていただく。
これはやってよかったと思った点
お正月が終わったころに体調を崩した犬は、食欲が落ちた。
先生に「体重が2キロを下回ったら危ない」と言われていたのだが、小康状態を保っていたころの体重の2.2キロから2.0キロになっていた。
これはいけない!と思って、ずっといつか食べさせたいと思っていた生食に切り替えた。

私はWeというオンラインショップで、売られている馬肉のミンチと野菜とハーブのベジミストをあげたり、手作り食をあげたり、知人から頂いた鹿肉をあげたりした。
※これは腎臓の数値等を見てキチンと判断した方がいい。

このおかげで、最後の日まで犬はご飯を楽しそうに食べていた。
最後の日の夕食は咳がひどくてさすがに食べられなかったけど…買っておいた分はおやつも含めて殆ど食べきってくれた。
亡くなる数日前に追加の肉を買うか、悩んで結局やめたのはどこかで感じていたのかなぁ。
お別れについて
小学生の頃に飼っていたハムスターは、庭に埋葬した。
金魚や熱帯魚、家で飼っていたすべてのペットは庭に埋まっている。
でも犬は(面積的にも気持ち的にも)無理だった。
調べたらペットの火葬は色々あって、
- 多くの犬猫と一緒に焼いて骨は帰ってこない、一番安い火葬
- ペット火葬業のお店を予約して、自分で持っていきお骨を持って帰るタイプ
- 火葬車がきて、どこかで焼いて、お骨を持ってきてくれるタイプ
色々検討して、最後の選択肢にした。
火葬車には小さく簡易的な祭壇があって、そこで少しばかりの別れの時間があり、焼いた骨生前の配置に整えて骨拾いができた。
あんなに真剣に骨を拾ったのは人生で初めてのことだった。(身内の骨拾いは葬儀や準備で疲れて、特に涙も出ないのに不思議である)
よく1度も骨折しなかったなぁという細い骨でびっくりした。
GoogleMapの口コミの良いところにして、実際とても丁寧で良かった。
火葬の予約をしたら、かなり混み合っていて、ここで4日後と言われた気がする。
ああ、多くのペットが亡くなっているんだ…とびっくりした。
ちなみに火葬代は、正確には記憶がないけど諸々入れて2万円くらいだった。
ペット保険によっては火葬代にも保険が下りるところもあるそうだけど、私の入ってたアニコムにはそんなものはなかった。
それから、長年お世話になっていた病院に死亡したことを伝えて、ペット保険の解約手続きをし、保健所に死亡届的なものを出した。
こういう手続きで死んだことがより現実的になってちょっとつらかった。
ペットの出会いと別れには意味があるっていう説
犬が亡くなってから、しばらく「ペットロス」について調べまくった。
そこには自分と同じようにペットを亡くし、大ダメージを受けている多くの人について書かれたことがまとまっていて、なんとなく慰めになったり、ならなかったりした。
その中でペットの出会いと別れには必ず意味があるというフレーズを見た。
何かしらの学びや、受け取ったものがあると書いてあった。
私の場合何の学びがあったか……それは考えなくても分かるくらい痛いほどわからされたものがある。
愛する者の死、喪失の痛みこれだ。
今まで身内の葬式で泣いたことはなく、誰の死も「遠くへ行った」ような、「ゴール」「いちぬけ」というような、いっそ羨ましいような気持ちで死を受け取っていた。
そういう人間が初めて本当に、心の底から悲しかったのが愛犬の死だった。
例えば私が死んだ場合、家族はこういう気持ちになるのかもな……という事を知った。
犬が死んでから、じゃあ安易に死ぬという選択はいけないなぁと考えを改めた。
私は昔から死に興味があって、死を肯定的に考えている。(気がする)
いつからそうだったのかは覚えてないけど、子供の頃は
死後の世界は?魂ってあるの?どの瞬間から苦痛はなくなるの?
脳死は死なのか?脳死が死じゃないなら、心臓の鼓動が生のメインなのか?
例えばこの思考が無くなったら死なのか、寝ている間は死に近いのか?こういう事をよく考えていた。(大人になってからはそんな事は考えてないよ)
生きてるって結構つらい事が多いので、人生の選択肢としての死を頭の片隅に入れていたし、今フリーランスをしているのも、まあ最悪死ねばいいしな~。という究極の逃げ道があるのもある。
無味乾燥のループを続ける意味は?
良い事があって、辛いことが合って、足し引きして±0が人生なら、いつ0になっても差しさわりないのでは?
会社員になった瞬間から辛くて、とりあえずスイスで自死するために300万貯めた。
その後、あー葬式もしなきゃいけないかも。と100万貯めた。死体を輸送するのってお金かかる?とさらに貯めた。
社会人になってから数年は死ぬために生きていた。
そういう死に肯定的な私だったけど、死ぬってこんなに悲しいんだ…と理解させられたのは、私が犬を飼った大きな意味だったのかもしれない。なんならこの文章書いてる今犬の事考えて泣いてるからね
とりあえず、「生き物」なので生きます…真面目に…。また犬も飼いたいし…。
会社員やめてから積極的には死にたくないし…痛いの嫌いだし…。
今困ってる事と決意
もう3か月くらい経ったんだけど、今だに色んな事へのやる気が出なくてとても困ってる。
犬の食費・犬の美容院代・犬の治療費・犬の生活を守る事……これらに稼ぐ意味を見出していたので、どう頑張ったらいいか、エンジンのかけ方が分からない。
小学生の頃から何度か生き物を飼ったことがあって、ハムスターを見送ったことはあるけど、当時は小学生だったから日々に「やる気」や「頑張り」とかはあんまり必要なかったから、当時どうだったかはあんまり覚えてない。
とりあえず目下の問題は「無気力感」がフリーランスの自分にどんどんスリップダメージを与えている事実について真剣に向きあわねばと思う。このまま年数が経つと別の意味で死にかねない。
生きるなら、色々買いたいし楽しくしたいもんね。
±してマイナスなら死んだ方がよっぽどいいじゃないか。しっかりしろ。
とりあえず0から150万、犬用資金を溜めるのに頑張ります。このために頑張ってみよう。
別の存在に、生きる意義を求めるのは健全じゃないとは思うんだけど、そもそも18歳からスイスで死ぬのを目標に働いてた人間が今更急に健全になれるわけないのだ。
150万犬のためだけのお金を貯めたら、犬をまた飼う事を考えるんだ。
その時には、その選択をする自分のことを許せる気がする。